2005年 10月 28日
MDプリンタカラーチャートの前段のお話
先だって公開させていただいたMDプリンタカラーチャート、MDのヘビーユーザーの方にはとても響くものだったようで、嬉しく思うのですが、その反面、MDを所有していらっしゃる方でも、この「チャート」の根本的な「意味」のところから???と言う方もいらっしゃるようです。

そこで、今日は長くなりますが、チャートの前段の話題を記してみます。内容はMDプリンタの印刷原理的なものになります。

一般的に普及しているインクジェットプリンタは、各色の液状のインクを混ぜ合わせて射出することで色や濃淡を再現しています。それに対してこのMDプリンタは、基本3色(イエロー、マゼンダ、シアン)にブラックの4色のインクリボンを転写して色を再現します。この際、液状インクではインクの「量」で濃淡を再現するのに対し、リボンでは量を調節することは出来ないので、カラー印刷をするときMDは色の濃淡を「ドットの密度」で表現しています。濃い色ほどリボンをベタ塗りし、薄い色ほど点状に印刷して、見た目は濃度や色が違うように見せると言う原理です。比較的分かりやすいのはフルカラーでオレンジを印刷した場合で、いえろーのリボンが転写された後、薄い密度でマゼンダを乗せることで、オレンジに見える、という形です。

ところがこの印刷方法ですと、網点や斜線が出てきてしまい、これが小さい模型になればなるほど目立ってしまうのです。紙の大きな写真では分からないのですが、ドットのサイズは同じですので、対象が小さくなればなるほど、比較としてドットが大きく見えるのです。したがって150分の1スケールの模型に対しフルカラー印刷をしたデカールですと、(あくまで個人的な主観ですが)鑑賞に堪えうるモデル向けのデカールにはなりにくいのです。

これを解決する方法はただ1つです。ドットを出さないためには100%の濃度でリボンをデカールに印刷するしかありません。逆に言えば100%の濃度であれば、ドットは全くない塗装のような印刷が可能です。

で、100%の印刷をかけるためにはどうするか、原稿を白黒で製作するのです。白地に対して黒は濃度が100%になります。

でも、そうしたら印刷も白黒になってしまうとお思いになる方が多いかと思います。ここでアルプスMDの唯一かつ最大の魅力的機能である「単色印刷機能」と「ページ合成機能」が登場してくる訳です。ここでは分かりやすい例で、黄色い線を印刷したいとします。

白黒で作った原稿で、まず最初にプリンタのドライバソフトにある「特色印刷→単色印刷→特色ホワイト」を選択し、特色ホワイトのカートリッジを装着、カラーを作る下地になる白を印字します。

この場合は元データで黒の部分が白インク100%の濃度で印字されます。この原理をまず理解することは重要です。

でこれをしないとデカールを転写する下地の色が抜けてしまいます。(用はカラーインクリボンには透過性があるということです)そして同時に、ページ合成のタブをONにすることをお忘れなく。

で、続いて白を印刷したのと同じ白黒の原稿で、こんどはドライバソフトにある「特色印刷→単色印刷→紙用イエロー」を選択し、印刷をします。すると白で印刷された部分にぴったり重なる形でイエローのインクリボンが100%の濃度で印字されます。これでめでたく黄色い細い線をドットレスで印字できる、と言うことになります。この場合も元データで黒の部分が黄色インク100%の濃度で印字される、と言う原理です。

ここで、先ほどはさらっと記してしまったのですが、「カラーインクリボンには透過性がある」この性質を利用することになります。このことは、100%濃度で印刷をしても、下地の色は透けて表面の色に影響することになります。

先ほどの例で言えば、「白」の上に「黄色」を印字しているから黄色が「黄色」に見えるわけで、白ではなくシアン(水色)の上に黄色を同じ100%の濃度で印刷すると「緑」の色が出てきます。絵の具を混ぜるのとは若干ニュアンスが違うのですが、原理的には近いものがあります。

最初の方に「カラー印刷をするときMDは色の濃淡を「ドットの密度」で表現」すると記しました。それに対し、100%濃度の印刷を重ねていく場合、濃淡に関しては自由度がなくなります。自由に好きな色は出せなくなります。ある色のインクリボンの上にある色のリボンを重ねて印刷すると、出てくる色は必ず一定になります。ただ、インクの重ね方、重ねる回数によって、出てくる色は実に様々なのです。そこで、どの色のインクをどのように重ねた場合にどういった色が出るのか、ということを知るために、インクリボンを重ねに重ねてみた結果どんな色が出るのか、これを試したのが先日のカラーチャートと言うことになるわけです。

b0059756_23353121.jpg

上の画像は同じ事業者の赤帯をMDで出力したデカールで表現しているのですが、向かって左はここで説明した100%の濃度で印字を重ねて出した色、それに対し右は普通にフルカラー印刷をした時の色です。この手の色はカラー印刷してもあまり目立たないのですが、それでも拡大画像でご確認いただくと、カラー印刷をかけた右のデカールにはわずかに印刷の網点があることが確認できます。明らかに左の車の赤帯の方が塗装に近い印象に仕上がっていることがお分かりいただけるかと思います。

こうした印刷元データとMDプリンタの印字に関する「原理」と、インクリボンの「性質」、そしてページ合成、単色印刷という「機能」のすべてを利用し、ドットのない、塗装のようなシャープなデカールを製作するために製作したカラーチャート、たとえばこれをもっていれば、実車にチャートを当ててみることで、どのようなインクの重ね合わせをすると実車の色に近くなるか、と言うことも知ることだって可能になります。

本来はこうした内容は、画像をつけてご説明しないとよく分からないと思うのですが、画像の準備が出来ていないので、とりあえずテキストで記してみました。出来れば画像も追加していきたいと思います。

この話題は今後も折を見て追加していく予定です。不明な点などはメールやコメントをいただく形でご質問いただければと思います。分かる範囲でお答えしますので。。。
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by atbmodels | 2005-10-28 00:16 | バスモデルテクニック


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