2005年 11月 07日
このブログでは、MDプリンタを使って出力したカラーチャートのご紹介と、その前段のMDプリンタの原理について、簡単にではありますがご紹介させていただきました。 http://atbmodels.exblog.jp/3687555/ この投稿に画像を追加しました。通常のカラー印刷をかけた場合と、白黒原稿から単色印刷を繰り返して印刷した場合の差がお分かりいただけるかと思います。 その前のカラーチャートと、前回の「前段の話」をあわせてみていただきますと、逆に言えば「MDプリンタでドットレスで出せるカラーは限定される」ということもお分かりいただけると思います。出力できる色が限定されるのはプリンタとしては明らかに機能制約に思われるのですが、ただMDプリンタには他のプリンタには出来ない、そして模型向けデカール製作では欠かすことの出来ない「Only One」の機能があります。 それが「白」を「印刷」することができる点、それからメタリック色を印字できる点でしょう。 特に白は、インクジェットでは、ベースの紙が白であることを前提に白は印刷しないことで再現しているため、デカールのように透明なものの上に『白』が印字できると言うのはMDプリンタと同じ原理の沖電気のマイクロライン7050Cシリーズぐらいではないでしょうか。 聞くところでは、白とメタリックは液体インクでは固まりやすかったり、粒子が大きかったりするためにノズルに詰まりやすくなり、導入が難しいと言うような話を聞いたことがあります。その点乾式のインクリボンを転写するMDシリーズにとってはこの色再現は絶対的な強みであり、そして模型デカールには欠かすことの出来ない機能です。 以下はメーカーが推奨しない使用方法ですので、各自の責任で内容をお読み下さい。 そして、純正のインクリボンだけでなく、実はMDプリンタでは一部の同規格のワープロ用インクリボン、それから沖電気のマイクロラインシリーズ向けのインクリボンも、カートリッジに手を加えることで使用することが出来ます。このラインナップに、アルプス純正ではない「特色レッド」「特色グリーン」「特色ブルー」や、メタリックではない、下地を透過する「シルバー」や「ゴールド」のインクリボンが存在するため、これらも使用すれば、MDプリンタを使ったドットレス印刷で再現できる色は飛躍的に増加します。(先日のカラーチャートではこれらのカラーも使用しています) 得意な色、苦手な色がある点は先だって記したとおりですが、得意な色になりますと非常に微妙な色の違いもドットレスで再現することが可能です。 この製作中の2台の東急バス5E、左右の車両で赤の色が違うことがお分かりいただけるかと思います。右の車は新製直後の鮮やかな赤を、左の車両は使い込まれた、若干退職が進んだ赤を再現して見た例ですが、同じ赤でも、掛け合わせるインクを変えることで、ここまで細かい再現が可能になるわけです。 そしてこちらも製作中の南越後観光のRP80ですが、東急とはインクのかけ合わせを変えて、実車どおりより「朱色」によった赤を再現しています。また、側面の金文字も、東急バスではアルプス電気の「メタリックゴールド」を使って際立たせているのに対し、こちらの作例では白→黄色→ワープロ用ゴールド」と3色の印字を重ね、きらきらと輝きすぎない金を再現してみました。 いずれも原稿はすべて白黒で、印刷の際に使うインクを変えることで、こうした色再現をしています。MDプリンタはこれだけ繊細な再現が可能で、様々な可能性を秘めたプリンタであることがお分かりいただけるかと思います。 ただ、残念なことに現在発売されているMDプリンタはMD5500のみ、しかもメーカー直販のみと、購入に際し非常にハードルが高くなっています。さらに沖電気のマイクロライン7050Cも生産中止、ワープロにいたっては果たしてどの程度のユーザーがいるのやら・・・といった状況です。今後、こうしたサプライ品、とりわけ「命」ともいえるインクリボンがどの程度安定して供給されるのか、非常に不安は大きいものがあります。どちらにしても、「先の明るい」技術ではないのです。 個人的に思うのは、恐らくメーカー側ではこうした需要があることすら把握していないのではないか、ということ。これが一番の不安であり不満でもあるわけです。出来ることならメーカーさんに直談判して、このプリンタ技術がどれだけ優れていて、我々のホビーシーンに不可欠なものになっているのか、と言うことをお伝えしたいぐらいです。 最後の画像の車両の正面のエンブレム、これこそMDプリンタでなければ表現できない所だと思います。私の腕ではなくて、プリンタの性能のおかげで模型のレベルが格段に上がっているということ、このプリンタの性能がいかに秀逸な物であるか、と言うことを皆様にも分かっていただければ、非常に嬉しいです。 MDについては、今後も折を見て色々な話題を掲載したいと思います。
by atbmodels
| 2005-11-07 00:07
| バスモデルテクニック
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